にいがたNPO情報ネット
 フォントサイズ: 

精一杯伝えてくれるから、精一杯聞きたい。社会復帰を支える保護司として大切にしたいこと 保護司 吉岡八重子さん

精一杯伝えてくれるから、精一杯聞きたい。社会復帰を支える保護司として大切にしたいこと 保護司 吉岡八重子さん 犯罪や非行をした人の保護観察、生活環境の調整、また犯罪予防活動を行う保護司という活動を聞いたことがあるだろうか。釈放された人と面談し、生活上の助言や就労の手助けを行うほか、これから釈放される人がスムーズに社会復帰できるように、帰住予定地の調査や身元引受人との話合いなども行っている。今回は、見附市で13年間、保護司として活動されている吉岡八重子さんにお話を伺った。

吉岡さんは元々、医療、福祉の仕事をしていた。2005年、知人から保護司の活動を紹介されたことが活動を始めるきっかけになったそうだ。保護司は、法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員だが、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアであり、給与は支給されない。見附市の保護司の定員は20名と決まっており、紹介を受けた時は「自分がやってもいいのか」と迷ったが、知人や家族などに背中を押され、仕事を続けながら保護司になることを決意した。

インターネット上の誹謗中傷に関する犯罪予防活動を地元の小中学校で行う一方で、保護観察所が選定した相手と月2回以上面談し、相談を受けて適切な行政の窓口を紹介したり、お米の炊き方を教えたりなど、取り組みは多岐にわたる。相手本人と連絡先を交換して、電話で相談に乗ることもある。保護観察所の判断にもよるが、本人と数年間関わり続けることも少なくないそうだ。

吉岡さんは本人との面談が大切なことだと考え、本人の話をしっかり聞くことを意識してきたという。対面だと圧を感じさせてしまうため、斜めの位置に座って話しやすい雰囲気を作ることや、顔を見て話すためにメモを取らないなどの工夫もしているそうだ。「精一杯伝えてくれるから、精一杯聞きたい」というのがモットーだと吉岡さんは語る。

吉岡さんは、面談の際にコーヒーを淹れてくれるようにあえてお願いすることもある。
「砂糖はいらないなーとか、淹れてくれてありがとうとか、それくらいなんですけどね。誰かのために何かしてあげるということをしてもらうんです。」
こうしたコミュニケーションを通じて相手との距離が縮まると、好きな食べ物の話や子どもの頃の話など話題が広がるという。

本人の話を聞く時は、相手の個性を大事にすることも重要だそうだ。例えば、ピアスを多くつけている人は良くない印象を持たれることもあるが、吉岡さんはその人の個性としてとらえる。否定や無視をせずに、自身の過去の話を交えながら会話するようにしている。

「社会に出ると一緒のことをしなきゃいけない時もある。我慢も必要な時があるけれど、伝えたいことは伝えていいんじゃない」、と思いながら相手に接していると吉岡さんは語る。

相手の親御さんの見方が変わっていくことも大切だという。
「そんなに褒められた子じゃないという親御さんもいるけれど、コーヒーを入れるのが上手になったというのも褒めるところなんです。」
実際にコーヒーを淹れてもらって飲んだ親御さんが、生まれて初めてだと言って感動していたのを目の当たりにしたことがある。
「人を変えるって大変なこと。それよりは自分の見方を変えるといいと思うんです。」
周囲の見方が変わることで本人も変わっていくと、吉岡さんは感じている。

13年間、保護司を続ける中で、再犯を起こしてしまった相手に思いを巡らせ辛かった経験もある。それでも、吉岡さんが保護司をやっていて良かったと思うのは、手助けした相手が笑顔を見せてくれるようになったり、結婚して子どもを連れて挨拶にきてくれたりしたことだ。

「極論を言うと、保護司のような仕事はないほうが良い。そういうわけにはいかないけど、大丈夫?ってお互いに声を掛け合って、少年院や刑務所に二度と戻ることのない社会になってほしい。」「人間は人間であり、モノではない。自分は自分らしく生きたいし、その人にはその人らしく生きてほしい。」と吉岡さんは力強く語った。


・全国保護司連盟
https://www.kouseihogo-net.jp/hogoshi/index.html

TOPへ戻る 一覧へ戻る