にいがたNPO情報ネット
 フォントサイズ: 

「大河津分水がなければ今の新潟はない〜魅力を伝え、ふるさとへの愛着を育む〜」 「Love River Net」代表 樋口 勲 さん

「大河津分水がなければ今の新潟はない〜魅力を伝え、ふるさとへの愛着を育む〜」 「Love River Net」代表 樋口 勲 さん  新潟県は、信濃川など多くの川と共に歴史を刻んできた。数え切れないほどあった水害から生活を守るために大河津分水が造られ、川は現在の形となった。そんな私たちの身近にある川の魅力を発信している「Love River Net」代表の樋口勲さんにお話を伺った。

 十日町市に生まれ育った樋口さんは、その土地柄から雪に興味を持ち、妙高市で就職、雪害から生活を守るための研究を行っていた。しかし、現地の人にヒアリングをする中で気づいたことや、自身の結婚のタイミングが重なったこともあり、転職を考えるようになった。大学時代の指導教官に相談したところ、「大河津分水に関わってみないか」と誘われ、信濃川大河津分水資料館に勤めることになった。

 資料館には多くの生の声が届いたという。批判の声もあったが、圧倒的に多かったのは感謝の声だった。来館者に資料館を案内すると、帰るときには「大河津分水がなければ今の新潟はない」と理解してもらえることが多くなった。その経験を重ねることで、地域や郷土に誇りをもってもらうことが大事なのではないかと気づき始めた。この考えに確信をもったのは、7.13水害(新潟・福島豪雨)の被災者に被害状況のヒアリングをしたときのことだった。

 「被害にあった地域の方々に、ここから引っ越したいと思いますかと聞いたとき、いや、そうは思わないと。やっぱり自分が育ってきたところだし、愛着もある。川がなければ田んぼも耕せないし、川から飲み水だってとっている。だから恵みの川なんだよね、ということを言われるわけです。災害にあっているにもかかわらず、その元凶である川に対して感謝の気持ちを持っているというのはすごいことだと。そして、今まで自分の考えていた『地域あるいは郷土をきちんと見ていくことの大事さ』は間違っていなかったと確信をもちました。」

 大河津分水は調べれば調べるほど奥が深かった。大きな放水路は全国に5つあるが、そのなかでも大河津分水が一番だという。

 「地域住民が私財を投じて請願活動を行って実現したのはここが一番です。他でもありましたが、ここは別格です。地域住民の方々の水害からふるさとを守りたいという思いはすごくて、その人々が求めたものを、技術者たちも真摯に一生懸命取り組んで築いてきたんです。これこそ、ふるさとへの誇りを伝えるにはものすごくいいフィールドだと思いました。」

 仕事だけではなく、気軽に自分のやりたいことが実現できる仕組みを作りたいと思い、「Love River Net」を立ち上げた。大河津分水の新たな魅力を知ってもらうため、「夜の大河津分水のご案内」と題し、燕三条まちあるきの一環として大河津分水のまちあるきを行っている。また訪れる、知ってもらうきっかけ作りをしたいと、「大河津分水サンクスフェスタ」などのイベントを多数開催している。

 「今の子どもたちにふるさとへの誇りや愛着をもってほしいよね、とメンバーとよく話をするんです。たとえこの地から巣立っていったとしても、ふるさとを忘れない人になってほしいとか、いつか戻ってきてほしいとか。大河津分水に限らず、地元に何かいいイメージ、愛着をもって育ってくれるといいなと思っています。それがきっと私たちの活動の根底にあるんです。」

 取材のあと、樋口さんが資料館を案内してくださった。短い時間であったにもかかわらず大河津分水の魅力を知ることができたのは、案内してくださった樋口さんご自身が、敬意と愛着をもっていたのが大きいと感じた。樋口さんが今後どのように川の魅力を発信していくのか、とても楽しみだ。


・love river net http://loverivernet.konjiki.jp/index.html

(2016/11/25  にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

TOPへ戻る 一覧へ戻る