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「地域は変えるものではなく、自然と変わっていくもの〜「いわむろや」からやりたいを形に〜」新潟市岩室観光施設「いわむろや」館長 小倉壮平さん

「地域は変えるものではなく、自然と変わっていくもの〜「いわむろや」からやりたいを形に〜」新潟市岩室観光施設「いわむろや」館長 小倉壮平さん  新潟市の西蒲区にある岩室は、のどかな景色が広がり、温泉街としても知られている。新潟市岩室観光施設「いわむろや」は、主に観光に関する情報を広く発信し、地域の農産物の販売やイベントなども行っている。東京から岩室に移住し、「いわむろや」で館長を務めながら、NPO法人いわむろやの理事・事務局長としても地域活性化に取り組んでいる小倉壮平さんにお話を伺った。

 小倉さんは東京で生まれ育ち、建築やデザインの分野に興味を持ったことから、美術大学で建築学科を専攻。卒業後は一度大学職員として働き、2010年3月に岩室へ移住してきた。移住のきっかけとなったのが、大学時代に関わった「アートサイト岩室温泉」というイベントである。

 2003年から始まったこのイベントは、卒業生の作品を旅館のロビーや庭に展示し、温泉街全体を美術館に見立てるという一種の芸術祭である。元々は、「岩室温泉を活性化させたい!」という岩室の方々からの依頼で始まった。メディアにも取り上げられて話題となり、2年に一度開催されるようになった。学生主体の取り組みであったが、密接に地域の人と関わり合うことができ、交流が深まったという。当時の小倉さんは、授業では卓上でしか表現できないことに違和感を持っていたが、「岩室温泉プロジェクトは等身大で、相手と向き合えることが社会的でおもしろかった」と振り返る。

 「岩室は、四季や暮らしかた、コミュニティなど東京での生活では分からないことを感じることができるのが魅力的。移住するとき環境的には問題なかったが、専門性を持っていなかったため役に立てるか不安だった。でもこの地域に恩返ししたい、貢献したいという気持ちがあったので、チャンスがあれば何かお手伝いしたいと思っていた。」と語る。

 現在、小倉さんは、食のイベントの「農家レストラン」、音楽イベントの「いわむロック」など、幅広く様々なイベントの企画を通じて地域を盛り立てている。

 「「農家レストラン」はNPO法人主催で、レストランの定休日に月2回、第2・第4火曜日に野菜を出してくれている農家さんたちと農産物を味わう、野菜のこだわりを聞いてもらう場づくりをしています。地域の人だけでなく、遠方からも来てくれています。」

 音楽イベントを開催するきっかけは、地元の若い人の「こんなイベントやれたらいいよね」というつぶやきだったという。そのつぶやきを小倉さんが拾い、「場所もあるし、イベントもやり慣れているから、一緒に頑張ろうよ」と始めた。「ライブハウスだと30〜40人程度の音楽を聴きに来る決まった人しか来ないが、ここでやれば老若男女幅広い世代が何百人と聴きに来てくれる。歌い手も面白みがあるだろうし僕らも見ながら応援していける。」今年で5回目となる今回は規模を拡大し28組のアーティストが参加する。「いわむロック」の参加者は若者中心の高校生から20代であり、「若手の登竜門的なイベントにしたい」という。

 こうした企画は会議の場で発案されるだけでなく、「いわむロック」のように外部から持ちかけられることも多いそうだ。子育て世代の発表の場となっている「ママキラフェス」も巻町のお母さんの「西蒲区でもイベントをやりたい」という想いから始まったもので、ここで初めて発表した人が他の地域のイベントに参加するきっかけにもなっているという。

 これらの取り組みも踏まえた上で、今後の課題としては、「温泉街全体でまだまだ元気が足りない。旅行者のニーズの変化もあるし、「いわむろや」だけでなく温泉街全体にもっと人が来てくれるように方法を探していかなければいけない。」と小倉さんは語る。

 岩室温泉は、雪が降ると行きにくく、スキーができる土地でもないため、冬場にどういう風に客を呼び込むかが問題で、いくつか企画は出ているがなかなか難しいのが現状のようだ。小倉さんは冬に酒屋さんと連携した「酒造りツアー」などを企画しており、今年は冬場の観光にも少し活動を広げたいという。また弥彦や巻などとの地域間の連携をもっと強くして、エリア全体として人が来てくれる魅力ある地域になるきっかけをつくりたいと語る。

 「自分が良いと思った場所なので、いいなと思ってくれる人は少なからずいるはず。景色はもちろん、住んでいる人との出会いなど、印象に残る記憶体験や出会いを起こせる地域にしていけたらいいなあと思っています。経済的基盤もつくり、無理はしなくて良いけど持続可能な地域にしていけたら。100万人も来なくて良いけど、今より2割、3割増えると良いかな。」

 「僕が地域を変えたい、という気はあまり無い。自然と変わっていくものだと思ってます。やりたいっていうことを形にすることで、自然と何か変わってたとか、残ってたとか、そういうことのお手伝いができたらいいのかなと思っています。」と自然体で語る小倉さんのさらなる活躍に期待したい。

・「いわむろや」ホームページ http://www.iwamuroya.com/
(2016/09/23  にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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