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「他者とめぐりあう映画館〜趣味の世界でつながる地域を目指して〜」 高田世界館 支配人 上野 迪音 さん

「他者とめぐりあう映画館〜趣味の世界でつながる地域を目指して〜」 高田世界館 支配人 上野 迪音 さん  上越市高田に105年の歴史を持つ映画館がある。映画館の一席に身を置くと、懐かしく、ゆったりした時間の流れを感じることができる。古い建物が立ち並び、城下町としての風情が残っている市街地において、上越の地域遺産「高田世界館」を管理運営している20代の若き支配人上野迪音さんにお話を伺った。

 上野さんは上越市高田で生まれ育ち、高校卒業後は横浜の大学へ進学。そこで、映画について学びながら、撮影等に携わり、映画評論を行っていた。もともと戦争映画やホラー映画に興味があったというが、深く「映画」を意識したのは大学3年生の時。周りの先輩の影響をうけ、映画の世界に次第に入り込んでいったという。

 大学院生の時、「地域づくり」に興味を持っていた上野さんは、地元高田で面白いことを仕掛けてみたいと考え、2013年の夏、「高田世界館」で映画の上映会を開催した。今まで映画を鑑賞したり、台本を執筆したりすることはあったものの、人に対して積極的に「映画」をみせるという経験がなかった上野さんは、自分で自由に開催することができたこの上映会について、とても新鮮な気持ちを抱いた。自己表現方法として悪くない手法だと感じるとともに、地域との関わりに対する面白さを実感した。
 
 また、上野さんは、交通インフラの発達やSNSの普及に伴って、東京と上越を同じフィールドとしてとらえており、中央と地方を又にかけて活動していた。映画とは関係ない「地酒を楽しむイベント」も高田で開催したという。地域に交わりながら、今後も活動をしていきたいという気持ちは常に持ち続けていた。

 そして、映画館事業としての補助金が交付された2014年春に「高田世界館」の支配人となり、企画・運営・事務・管理など映画館のすべてを任された。当初は建物の維持管理や見学者の受入を行っていたが、常に物足りなさを感じていたという。そこで、上野さんは、映画をコンスタントに上映することを考え、映画に絡めたイベントを開催するなどして、映画館の集客を増加させることに成功した。今では、「高田世界館」は高田市街地の観光スポットとなり、毎月1,000名ほどの人が訪れる。

 「単純に「娯楽としての映画」という観点では経営は成り立たないと思っていて、上映作品を選ぶときは、街との関わりを第一に考えています。また、映画のテーマに固有性をもたせ、来客対象を絞り、スポット的に情報を発信しています。基本、気軽に映画を観にきて欲しいけれど、劇場に足を運んでもらうためには、ネタを具体的に提示して背中をおすようなアプローチが必要なのですよ。」と経営について語った。

 「映画館は年齢層の幅が広いので、「映画をみること」=「他者とめぐりあうこと」と考えています。お互いの接点をつくりだす場、素の人間性がでる場所でゆるやかな人間関係を生み出す場になればいいと思っています。今は、月一カレー会を開催し、意見交換等も行っています。映画館で映画をみる習慣を定着させ、趣味の世界でつながる地域を目指しています。」

 「ネットなどによりダイレクトに地方と中央が繋がる時代なので、東京に負けないような新しいことを全国に向けて発信していきたいです。「高田世界館」みたいな映画館がある街に住みたいという声も多数あるんですよ。今後は、ポジティブなエネルギーだけで、どこまで進んでいけるのか、それを目標に走っていきたいです。そして、映画だけにとどまらず、様々な用途、特に音楽面に力をいれて、さらなる映画館の活性化を図り、この街を盛り上げていきたいです。」と上野さんは語った。

 高田地区では、すでに地域のうどん屋さんやお寺などで音楽イベントを行うなど、地域が連携して音楽活動を盛り上げている。上野さんの当面の目標は、高田の地に若者が集まるようなコアスペースを作ること。「一緒に楽しいアイディアをだしあい、楽しいことを実現していきましょう!」と若者たちに呼びかける。

 上越に足を運ぶ機会があったら、ぜひ訪れてみてほしい。


・高田世界館公式サイト
http://takadasekaikan.com/
・高田世界館Facebook
https://www.facebook.com/takadasekaikan/

(2016/05/25  にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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