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『住み開きから生まれるコミュニティ〜世界中から旅人が訪れる限界集落のシェアハウス〜』〜「ギルドハウス十日町」ギルドマスター西村治久さん〜

『住み開きから生まれるコミュニティ〜世界中から旅人が訪れる限界集落のシェアハウス〜』〜「ギルドハウス十日町」ギルドマスター西村治久さん〜  ウェブプランナーの西村治久さんは、2015年5月、十日町市にシェアハウス「ギルドハウス十日町」を開いた。道の駅「クロステン十日町」から南東に10分ほど車を走らせ、山道を抜けた先に見えてくる限界集落には、いま、若者からお年寄りまで、さらには全国各地から人々が集まってくる。この限界集落で何が起こっているのか、西村さんに話を伺った。

 埼玉県生まれの西村さんは、小学6年生の時にパソコンに出会い興味を持ったことをきっかけに、大学の経営情報学部に進学、卒業後は高校からの夢だったITベンチャー企業に就職した。パソコン雑誌の編集者をしていたが、2004年に新潟市に移住。IT分野の企業に転職し、Web制作やインターネットの企画等を行っていた。

 人生の折り返し地点となる40歳の年に、東日本大震災が起こり、世の中が非常に不安定な状況となった。会社勤めで毎日ハードな生活を送っていた西村さんは、このままずっとこの仕事を続けていくことができるのだろうかと将来に対して不安を持つようになった。当時、SNSが急速に普及、発達してきた時期であったため、個人でもアプリなどのツールを使用し活動ができるのではないかと自分の可能性を感じ、フリーランスとして独立した。

 「フリーランスになって、カフェでずっとひとりで仕事をしていたらとても寂しくなり、職場勤めでは感じなかった孤独感を味わいました。その時にコワーキングスペースの存在を知り、東京に視察に行ったんですよ。同じ空間で様々な職種の人たちが働いていて、その人たちとは自由に交流でき、自然な会話の中でコラボレーションつまり化学反応が起こり、自然に仕事が生まれる。これはすごいと思って、新潟県内初のコワーキングスペースを新潟市にプロデュースしました。そこには、情報発信が活発な人たちが集まっているので、様々な化学反応が起こり、自分のコミュニティが広がり、いろいろな可能性を感じました。」

 それから西村さんは全国各地を飛び回り、行く先々のコワーキングスペースを巡った。三年以上、全国各地を飛びまわっているうちに、様々なつながりができ、アイデアの種が溜まり、自分の場を持ちたくなってきた。こうした旅の集大成として実現したのが、「ギルドハウス十日町」だ。

 なぜこの場所にシェアハウスを作ったのか尋ねると、「場所はどこでもよかったんですよ。旅先で出会った人たちとのご縁で2014年11月に十日町の物件に初めてやってきて、シェアハウスをやりたいと家主に説明したところ、若者が移住してくることは地域活性になる非常によいことだ、「家を好きにしていいよ」と言ってくれたのでここに決めました。どこの場所にあろうと人は来るという確信があった、限界集落でもやれると。オープン以来のべ2000名以上が出入りしています。全国的にも注目を浴びていて、世界中から旅人が訪れます。この前は中国人の女性19名が団体で来たんですよ。」と嬉しそうに語った。

 築100年以上の民家を利用した「ギルドハウス十日町」のコンセプトは「住み開きの古民家」。自分の住まいを交流拠点として地域の人などに一棟丸ごと開放している。また、イベント等も開催していて、地域の方たちと一緒に盛り上げている。地域に根差した古民家には人を引き寄せる力があり、様々な人が集う。ギルド=職業別組合は、中世ヨーロッパ時代に実在したもので、ハローワークのようなイメージと仲間が見つかる酒場という二つの意味があるという。自分のやりたいことを実現するために経験値を積み、仲間をみつける場所、という点が共通していたため、「ギルドハウス」と名付けたそうだ。

 「住人は4歳から40代まで11名で、地元の人はひとりもいません。住人は次のステップに向かうための準備など、何かしら目的意識を持っていて、人とのつながりやきっかけを求めてここに住んでいます。いろんな人たちとの繋がりができる交流地点として、みんなでアイデアを出して、住まいを作っているのです。住人同士は「共感」が多いので、今までトラブルはなく、お互いで解決しているのですが、これは、立地とコンセプトがなせるワザであり、出会いや共感が人を変えていくと思っています。」

 「中山間地域は人と人との支えがとても大切なので、地域住民は人との繋がりが早く、コミュニティ能力が非常に高いと感じます。都会にはないものがここにあり、それが心地よく新鮮で、住んでみてから十日町の魅力を感じました。十日町は理想の拠点です。ここはインターネット環境も快適で中心部にも近く、とても住みやすいですよ。毎日いろいろな人たちが出入りしていて、刺激的な生活を送っています。徒歩や自転車で来る旅人などは全国に知り合いがいるので情報発信力が非常に高く、面白い場所があるとすぐに発信するので「旅人が世界を変える」と思っていて。相互理解が高まれば、それは世界平和につながっていきます。」

 「新潟県だけでなく他の地域からも人が来ることにより、地域課題の解決法が見つかっていくと思います。過疎化・高齢化など共通の課題を共有化して解決をしていくなど、地方同士の繋がりを強化させ、横展開を仕掛けていきたいです。また、自分の場である「ギルドハウス十日町」は常に変わり続けている家として存在していきたいです。時代の変化に柔軟に対応し、時代に沿ったコンセプトで変わり続ける家。今後、様々な問題がでてくると考えられますが、困った時の助け舟としての役割も果たしていきたい、細くてもいいけれど良い場所を作り続けていきたいです。フリーランスとして地域経済に貢献し、個人発信で地域と地域を結ぶ、個人発信が社会を変える、その拠点としてここを展開していきたいです。」と西村さんは熱く今後の展望を語った。

 今後「ギルドハウス」は、西村さん自身が胎内市にもオープンするほか、瀬戸内海の小豆島に設立したいと準備中の人がいる。また、若い世代が気軽に「まちづくり」に参加して、地域活性化につながる「まちかどギルド」というスマホアプリも配信予定とのこと。
 ギルドマスターの西村さんの活躍に目が離せない。

 「ギルドハウス十日町」
https://colish.net/concepts/602

(2016/01/25   にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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