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『木工所の再生から始まる地域おこし―地元が主役、協力隊は脇役』〜魚沼市地域おこし協力隊 井上 円花さん〜

『木工所の再生から始まる地域おこし―地元が主役、協力隊は脇役』〜魚沼市地域おこし協力隊 井上 円花さん〜  井上円花さんは、魚沼市地域おこし協力隊として約一年半前に東京から移住し、大白川地区を担当している。井上さんが縁もゆかりもない土地である魚沼市に移り、協力隊として活動している経緯を追った。

 東京都文京区で生まれ育った井上さんは、アメリカのオクラホマ州の大学に進学して、ファッションマーケティングを学んできた。在学中はファッションサークルに所属し、自らデザインや洋裁を行い、ファションショーに作品を出品し、数々の賞を受賞。大学卒業と同時に帰国し、インテリア会社に就職、家具のバイヤーとして5年程勤務した後に、都内の職業訓練校で1年間木工技術を学び、木工技能士2級補佐の資格を取得したという。

 数多くある地域の中から魚沼市を選んだ理由は、「雪が降るところで山の近くに住みたい」という希望と、学生時代にスキーで新潟県へ訪れたこともあり、親しみもあったためだ。また、大白川集落は「木工所の再生」を施策に掲げており、井上さんがやりたいことと合致したこともある。

 都会で生まれ育った井上さんが魚沼に来てびっくりしたことは、春と秋の時期になると窓などにびっしりとはりつくカメムシ。「虫は嫌いじゃないのですが、部屋に干しているにもかかわらず、洋服をたたむと7匹位潜んでいるんですよ。」
 また、初めて熊汁を食べた時は衝撃的だったという。「今まで食べたことのない味で、食べた瞬間にカラダが熱くなり、まさにパワーを感じました。またぎである区長のお家に熊の皮があったことにもびっくりしました。かもしかが普通にいる環境もとても新鮮でした。」

 いま井上さんは協力隊として、「木工所の再生」がどうしたら集落のためになるのかを考え、活動をしている。
 「木工所の再生を考えた時に、体験型の施設ならばできると思いました。木工所を含め、駅を拠点とした集落の活性化を考えています。木工品をここで作成しても売れないし、競争にも勝てません。」と言い、木工所の指定管理終了後、どのように継続的に運営していくのか、体験型施設として稼働させるための計画を関係者と立てている。

 「ここにこの木工所があるという意味、ここでなければできないことをやっていきたいです。雪国のブナ材を活用するプロジェクトを新潟大学の教授が進めていて、松之山で伐採したブナを活用した取組みは今年ウッドデザイン賞を受賞しました。また、大白川で今年伐採した15本のブナ材は、これから、ウッドデザイン賞を受賞した「スノービーチ」の取組みで使っていくところです。」と目を輝かせながら井上さんは語る。

 それ以外にも活動は多岐にわたり、「「生きた森」をテーマに、今年は東京工業大学の学生が集落に入ってきてプロジェクトを進めています。来年度に向けて、学生の特性と集落の長所をマッチングさせ、大白川の「人」「森」「川」など自然を用いて、PR動画を作成する準備を進めています。大白川で切った木をドミノ倒しのように使用するなど、アイディアが次々と浮かんでいます。地域の人を巻き込んで、楽しいものをつくりたいです。また、青年会の立ち上げなど、協力隊の任期が終わるまでに、ある程度のシステム構築をし、手探り状態で始めたものについて、魚沼市として協力隊をどう考えるかをきちんと制度化していきたいです。」と続ける。

 井上さんは木工所の再生に限らず、食材付の定期購読誌「魚沼食べる通信」の編集長として発行も手掛けている。
 「地域おこしは地元の人が主役になるべきで、協力隊は脇役です。「食べる通信」は担当を分担していて、それぞれの人の得意分野を活かしながら、私がそれらをまとめて発信しているだけ。「食べる通信」は地元の人が輝く舞台、ツールであると考えています。」
 「ボランティアありきでは地域の力は弱まるばかりで、ある程度利益循環ができるシステムがなければ、地域活性にはつながらないと考えています。私は協力隊という立場として、地域の人が地域活性の主役になる場を作りたいと考えています。最終的には、協力隊や支援員を導入しなくても、その地域の人が自地域を維持していくのが理想だと思います。」

 この先の展望を伺うと、「日本の過疎・高齢化問題は、これから世界各国が直面する問題だと考えていて、この課題を当事者として見ていくことが、自分のためにもなると思っています。また、大白川集落の要望を見て、ここなら自分のこれまでの知識を生かし、何かできることがあるだろうと思い、魚沼に来ました。田舎でゆっくり生活がしたいと思って協力隊になったわけではありません。将来は自分が好きな仕事であるインテリアや木工分野で独立していきたいです。私は子どもが大好きなので、子どもを背負いながらでも仕事ができるように、自分のしたい仕事があるところで子育てと仕事を両立させながら暮らしていくことを考えています。」と井上さんは語った。

 しっかりとした信念を持ち、協力隊として活躍している井上さんの活動に今後も注目していきたい。


・魚沼食べる通信
http://taberu.me/uonuma/


(2015/12/25   にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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