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「若者支援×伝統工芸―それぞれの特性を活かして相乗効果を」 〜NPO法人平丸スゲ細工保存会/ぷらっとほーむ 代表 柴野美佐代さん〜

「若者支援×伝統工芸―それぞれの特性を活かして相乗効果を」 〜NPO法人平丸スゲ細工保存会/ぷらっとほーむ 代表 柴野美佐代さん〜  妙高市で、引きこもりなどの若者の居場所となる「ぷらっとほーむ」を運営している柴野美佐代さんは、施設利用者の就労支援の一環として、後継者不足に直面している妙高市の伝統工芸品「スゲ細工づくり」を取り入れている。柴野さんに、活動に込める想いを聴いた。

 スゲ細工は、昭和33年にお土産として持ち帰られた長野県のわら細工が始まりである。わらの代わりに妙高で自生するスゲを使い、栽培から、刈り取り、素材加工、制作など全ての工程を手作業で行う。
 かつては農閑期の多くの農家で作られ、収入源の一つとなっていたが、作業に膨大な労力がかかることもあり、職人は年々減っている。柴野さんが「ぷらっとほーむ」を開設した2013年には、職人はすでに10人にも満たず、2015年現在では2人となった。伝統技術の継承が急務だった。
 そこで柴野さんは、「ぷらっとほーむ」に来る若者とスゲ細工をつなぐことを思いついた。

 「『ぷらっとほーむ』を開設した時、どうせなら妙高市の特産で何かをしたいと考えました。そこで見つけたのが伝統工芸のスゲ細工です。スゲ細工職人は高齢の方ばかりなので、その方達から技術を教えてもらえば多世代の交流にもなる。社会に馴染めず引きこもりがちな若者の世界を広げるきっかけにもなると考えました。」と、柴野さんはほほ笑む。

 柴野さんはこう続ける。
 「スゲ細工は、制作に入るまでにかなりの時間がかかります。まず、刈り取ったスゲを作品の素材に加工する作業で数日は必要で、作品によっては、更に数日を必要とするひと作業を加えます。そこからやっと制作に入るので、時間のある人でなければ技術を引き継ぐことは難しい。また、制作には根気強さも必要です。『ぷらっとほーむ』を利用する若者には、一つのことに何時間も集中して取り組める職人タイプの子がいると見込み、共通した特性があると考え活動に取り入れました。」

 若者とスゲ細工をつなぐ一方で、柴野さんは「平丸スゲ細工保存会」の準備委員会を立ち上げた。地元の有志やNPO等に参加してもらい、それぞれの得意分野から長期的にスゲ細工の保存を支援できる体制を作るためだ。準備委員会は2015年3月にNPO法人となった。目下の課題は、スゲ細工の周知、創り手の育成、作り手の労力に見合った収入の確保、得た収益を存続活動に還元できる仕組みを作ることなどである。

 今後の活動の展望として、妙高市平丸にある「スゲ細工創作館」を情報発信の拠点として全国に活動を広めたいと考えている。

 「かつては農閑期の収入源として栄えたスゲ細工ですが、今では収入源としての需要はほとんどありません。伝統工芸品として残して行くことに価値のある物となっています。保存会では技術を受け継ぐ作り手を増やすことを目指しています。」

 「一人一人の力は小さいですが、集まれば相乗効果が生まれます。そんな環境で、妙高の伝統を地元の人を活かしながら守りたい。市内外問わず仲間も募集しているので、いつでも遊びに来て下さいね。興味はあるけど手先が不器用だからムリ、という人でも、ここで見た物を外部に伝えるだけで十分なんですから。」

 若者の支援と、伝統工芸品の技術の保存。別のものに見える二つの世界が、柴野さんの活動によってつながり、新たな一歩を歩み始めた。

・NPO法人 平丸スゲ細工保存会
http://www.nponiigata.jp/my_main.php?member_id=sugezaiku
・ぷらっとほーむ
http://ameblo.jp/prathome/

(2015/5/22 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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