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「わからない」をそのまま受け入れてほしい 荏原 富士子さん

「わからない」をそのまま受け入れてほしい 荏原 富士子さん  「どんな絵本をレパートリーに加えるか、いつも考えています。」
 荏原富士子さんは、「今、興味のあることは?」と聞かれ、笑顔でそう答えた。

 荏原さんは、新潟市秋葉区小須戸地区の公民館や小学校で、絵本の「読み聞かせ」や「語り」を行っている市民でつくるボランティア団体「おはなしぽけっと」で活動を行っている。絵本の「読み聞かせ」は、絵本を片手に一緒に読むように進めるが、「語り」は、本の内容を記憶した語り手が、聞き手のそれぞれの目を見ながら話を進めていく。荏原さん自身今までの活動の中で、十数冊からのお話を「語り」のレパートリーに追加してきた。

 荏原さんが、読み聞かせに興味を持ったのは、子どもが幼稚園に入園した時に父兄持ち回りでの読み聞かせの時間があったため。ちょうど公民館で行われていた読み聞かせ講座に参加したことをきっかけに、その受講生と一緒に、おはなしぽけっとの活動を始めた。その後、このまちに図書館が無いことから、子ども達の本に触れる機会を増やしたいという想いを持ち、小学校での活動も始めた。
 「子どもが成長するにつれて、幼稚園や公民館での読み聞かせから、矢代田小学校での読み聞かせをするようになりました。その後、中学校でのボランティア実習の時間に、読み聞かせの仕方をレクチャーしたことをきっかけに、同じ学区の小須戸小学校での読み聞かせの活動も始まりました。子どもは学校を卒業したのに、私は今でも学校に通っているんです。(笑)」
 小須戸中学校では、ボランティア実習として学童保育に行って読み聞かせを行う授業があり、荏原さんたちは、本の選び方や実際の読み聞かせの仕方についてレクチャーを行っていた。この際、出身小学校によって、読み聞かせを受けた体験にバラつきがあったためか、絵本の楽しみを知らないせいで、なかなかうまくいかなかった。そこで、小学校での読み聞かせ・語りを学区全体に広げ、小須戸小学校での活動も始まった。

 おはなしぽけっとは、新潟県新潟市秋葉区にある小須戸地区公民館で毎月第三土曜日に「おはなしのせかいへ」という読み聞かせの会を行っており、その活動は10年を超える。また、矢代田小学校と小須戸小学校の2校では、語りと読み聞かせを組み合わせる形で毎月1回の活動を行っているという。
 こうした活動は、約10名のメンバーで、スケジュールを調整しあって行っている。完全なボランティアだが、子ども達が喜んでくれることが一番うれしいことだという。また、絵本を選ぶ楽しさもあるという。
 「昔からある絵本はある意味「古いもの」なのですが、読む側にとっても聞く側にとっても初めて出会った時には新しい本となるんです。古いものを新しいものとして取り込んでいく、これはとても面白いことだと思います。」

 また、活動をする中で大切にしていることとして、「わからない」に敢えて応えないということがある。
 「絵本や語りの中には、子ども達にとってはわからない言葉がたくさんでてきます。でも、それを敢えて説明しないようにすることで、わからないものを受け入れる力を養ってもらいたいと考えています。」
 わからないなりに聞いた言葉も成長するにつれ、意味がわかるようになり、「あの時の言葉の意味はこういうことだったのか、なるほど!」という、発見や知る事の喜びにつながるのだという。
 「だから『わからない』にたくさん出会いながら成長してほしいんです。わからない!と、そこで立ち止まってしまうよりも、多様な世の中を多様なまま受け入れ、その上で自分なりに咀嚼できるようになるための練習にもなればと思っています。」

 おはなしぽけっとの活動は、「共通体験」という面も大切にしている。子どものころに同じ場所、時間を共有することは、大人になった時の財産になる。
 「図書館でも動物園でも児童館でも、どんな場所でもよいので、共通体験を得るチャンスを子ども達には提供したい。そのためにも、大切なのは、そうした場に率先して大人も参加し、一緒に楽しむ姿を見せるということ。」と荏原さんは語る。

 また、こうしたボランティア活動やNPO活動を頑張っている人をフォローする・支える人たちがもっと増えるような、活動が広まりやすい世の中になってほしいと感じている。
 「ボランティア活動を頑張っている人たちは、自分たちはこんなに頑張っているよ!とは言いません。そうしたボランティア活動をフォローしたり応援してくれる人たちがもっと増えて、目立たない活動をしている人たちに陽が当たるような、情報が広がりやすい世の中になるといいですよね。」
 常に笑顔でお話する荏原さん、これからも子ども達にお話することで、体験を通じたコミュニケーションの楽しさを伝えていってほしい。

 おはなしぽけっとの活動に興味のある方、荏原さんと一緒に活動してみたいという方は、ぜひ、小須戸地区公民館(TEL:0250-38-2234)へお問い合わせください!


(2013/3/21  にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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