にいがたNPO情報ネット
 フォントサイズ: 

大地にしっかりと根を張るためのお手伝いを ホールアース自然学校 遠藤亮さん

大地にしっかりと根を張るためのお手伝いを ホールアース自然学校 遠藤亮さん  「誰かが世界を変えてくれるわけじゃない。もっと住みやすい世の中を誰かが与えてくれると期待している自分がいる。でも本当は人任せにするのではなく、自分のできる範囲でいいから、小さな改善をしていくことが大事なんじゃないかと思う。そうして生まれた小さな幸せがたくさん集まれば、世界もだんだんと幸せになる。」
 ホールアース自然学校でインタープリター(※)を務める遠藤亮さんは、千葉県我孫子市の出身。友達と毎日、裏山を駆け回って自然の中で遊ぶ子どもだった。家族でキャンプに行くことも多く、学生時代にはワンダーフォーゲル部に入っていた。損保会社に就職後は、きっと山遊びはしなくなるのだろうと考えていたが、業務で多忙を極める中、気づけば時間をやりくりして自然の中で過ごす自分がいた。時には、環境や自然に関連した講座などを探し受講するために出かけることもあった。
 そうした中で出会ったインタープリテーションという考え方に魅せられ2004年にホールアース自然学校のインタープリターとなった。現在は、柏崎・夢の森公園で、柏崎市の委託を受け、施設型自然学校の運営事業に携わっている。
(※インタープリター:自然や文化の魅力を分かりやすく楽しく伝え、より身近に感じるためのお手伝いをする役目。自然と人をつなぐ橋渡し役、通訳。)

 ホールアース自然学校は、1980年代から環境教育を中心とした自然学校というカタチでの社会運動を行っている任意団体。
『自分以外の他者や自然、生き物たちに「思いやりを持つ」』
『世の中には様々な世界や価値観があることを「知る」』
『物事を自ら考え、「行動」できるようになる』。
 これらは、1983年から今も続く「遊牧民キャンプ」で、参加した人たちにキャンプの中で身につけてもらいたい素養だ。その後、ホールアース自然学校は、様々な法人形態での展開をしており、1987年には動物農場を前進とした「株式会社ホールアース」、2002年には「NPO法人ホールアース研究所」、2011年には「株式会社ホールアース農場」を設立している。2007年には、総合的な視点、全国への展開、先駆的な活動など、高い評価を受け、第2回エコツーリズム大賞をホールアース自然学校として受賞した。

 遠藤さんが、いま力を入れている活動は、手づくりの暮らし体験。とくに自然共生型の建築や、セルフビルド/ハーフビルドの体験に力を入れている。衣食住のうち、「住」について実際に体験できる機会は貴重とのこと。建築物を作る作業は大掛かりで、一人ではできない作業が多く、大人数が力を合わせ作業に取り組む必要がある。多くの人と共に苦しみを乗り越えるという一体感や達成感は特別なものだ。遠藤さんが関わる柏崎・夢の森公園の講座では、専門家としてプロの大工さんが講師を務め、空き缶や土、本来なら柱にはできないような曲がった木材などを使い、足湯小屋やキッチンスペース、土窯などが製作されている。講師も参加者も一緒になって建物を作る中で、自由なアイデアが飛び交い、日常では味わえないような「ものづくり」の喜びに出会えるのだそうだ。

 遠藤さんは、社会と環境、自然と環境を取り持つ役割(例えば、起業コンサルタントやインタープリター)として仕事をしてきたが、今では、他人とわたし、本当の自分とわたしを取り持つような役割(ファシリテーターやカウンセラー)に対しての興味が深まっているという。会社や家庭、そのほか人が集まってできる多くのコミュニティの中で、「孤立」という問題が課題になっており、例えば、虐待という問題をとらえても、それは当事者だけの問題ではないと感じている。
 いろいろな考え方があっていい、息の抜ける本音で話せる環境が必要なのではないか。寄り添いあえる環境、人と人のゆるいつながりが生まれる、そんな場所があれば一つの解決策にならないかと遠藤さんは考える。
 「常々気になっている自殺や虐待といった目に見える問題は、人を木に例えるとき、枝葉の部分の問題なのではないかと感じています。その枝葉の問題に対処療法的に対応するのではなく、本当の問題にしっかりと向き合うことが大事。本当の問題は、『木の根がしっかりはれていないこと』にあると思うのです。ぼくは、人がこの大地にしっかりと根を張るためのお手伝いをしていきたいと思っています。」

 新潟に移り住んだ当初は、冬の雪に悩まされたそうだが、今では美味しい食べ物と豊かな自然の中、家族と共に新潟をエンジョイされている。遠藤さんが想い描き模索している環境教育とコミュニケーションの場づくりが、新潟を舞台に結実するよう応援したい。


(2012/11/19  にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

TOPへ戻る 一覧へ戻る