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子ども一人一人のおもちゃに対する愛着を大切に おもちゃ病院にいがた 代表 佐藤秋夫さん

子ども一人一人のおもちゃに対する愛着を大切に おもちゃ病院にいがた 代表 佐藤秋夫さん  モットーは、「嬉」「楽」「広」。
 おもちゃ病院にいがたは、新潟市を拠点として、おもちゃの診察・修理の活動を行っている団体。「子どもからのありがとうの言葉に『嬉』しさを感じ、会員同士の親睦と交流を『楽』しむ中で、ドクター仲間を増やし、おもちゃ病院の活動を『広』げたい」という想いがモットーに込められている。

 同団体代表の佐藤秋夫さんは、60歳の時に定年退職後、何かをやろうと考えた時、昔、山歩きを趣味としていたこともあり、自然にかかわる活動をはじめた。しかし、体調を崩したことをきっかけに体力を必要とするボランティア活動が難しくなった。そんなある日、ボランティアセンターで開かれたおもちゃ病院の勉強会を知る。以前に、お孫さんのおもちゃを直す機会があったのだが、なかなか治すことができなかったこともあり、参加することにした。
 この時に、企画に参加した同志が集まり、「おもちゃ病院にいがた」が立ち上がった。現在では、メンバー59名を数える。

 おもちゃドクターには心得が多くある。
 「おもちゃは、修理するのではなく治療する。」「分解作業は、子どもの夢を壊さないよう、子どものいないところで行う。」「接着剤を使うときは、子どもは乾くまで待てないので、目を離さず注意を怠らない。」などなど。中でも最も大切なことは、子どもが遊んでいてケガをしないよう、工夫して治すということだ。交換部品一つとっても、とがった金属部品を使わず、手製の角を丸くしたプラスチック部品を使うという具合だ。
 おもちゃドクターの難しさを表す、こんなエピソードがある。男女の対になった人形を預かったのだが、その人形の顔にはマジックでいたずら書きがされていた。保護者の了解の上、その人形の表面素材を貼り直ししたところ、持ち主の子どもは、「自分のお人形ではなくなった、お化粧がしてあったのに。」と悲しそうな顔をしていた。そうした経験から、佐藤さんは、「なんでも新しく、綺麗にすれば良いと言うものでもない」と、子どもの感性を大切にしなければいけないとの苦い思い出を語ってくれた。

 こうしたノウハウを次に活かすため、症状を記入してもらう質問表を「カルテ」と呼んで収集している。設立当初はこまかい質問が並ぶカルテであったが、記入形式から〇×形式にするなど、工夫を重ね、回答率を上げてきた。集まったカルテのデータは傾向分析を行い、治療に活かしている。
 そうした分析の結果、同団体の講習ではドクターが受ける最初のレクチャーに、電池や接着剤の講義が用意されているそうだ。
動くぬいぐるみの治療をした際、治ったと思い引き渡したところ、やはり持ち主の子どもから「今までと違う」と、クレームを頂いた。調べてみると、実は電池の種類が違っていた。相性のいい電池を適切に使用することで、「今までと同じ」ぬいぐるみが戻ってきた。電池のトラブルは意外と多い。型こそ同じでも違うメーカーや種類、古さの違う電池を一緒にする等、気を遣わなければいけないことは多く、おもちゃが壊れてしまう原因になる。これは、陥りやすいミスだそうで、電池や接着剤は高ければいいというものではなく、良いものを適切に扱うそうだ。
 
 佐藤さんに、こうしたおもちゃ病院を取り巻く環境について伺ったところ、新潟市ではイベント等が多く、県内の他エリアに比べると、活動が行い易く、恵まれているという。今年5月には、新潟市東区にあるエコプラザで、おもちゃ病院を開いた。古いおもちゃの再生や、引き取り手を探すコーナーの設立など、エコというテーマで今後やりたい企画も多い。新潟市では、おもちゃは燃えるゴミとなる。「救えるおもちゃは救って、もう一度再生したい。おもちゃの引取り所として、中継地点になれるような拠点が欲しい。」と、佐藤さんは話す。

 おもちゃ病院は、大人の利用者も多く、からくり人形や記念のはと時計等の治療を依頼する人もいるそうだ。今では、佐渡市でおもちゃ病院の出張開院をした時の縁で、佐渡市から郵送でおもちゃが届くこともあるそうだ。
 現在のテーマとしては、治療のための工房や、ドリルスタンドや旋盤などの設備の確保、また、新しいドクターの確保が必要なのだそう。新米のドクターの中には、活躍を前に辞めてしまう人もいるため、ドクターの充実感を感じてもらい、長く続く活動を目指すことも大切だと感じている。結果、ドクターが増えれば、より頻繁に遠征診察や出張開院を行うことで、おもちゃ病院の存在をより周知できるという気持ちも強い。

 「子ども一人一人のおもちゃに対する愛着を大切にして、その笑顔のために創意工夫を続けたい。」、いきいきとした表情で語る佐藤さん、その言葉から、おもちゃドクターとしてのプライドとやりがいが、ひしひしと伝わってきた。


【おもちゃ病院にいがたWebサイト】
URL:http://www8.plala.or.jp/tma/

(2012/7/17  にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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