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里山・川は命を育む場所! 〜森林インストラクター 小林良範さん〜

里山・川は命を育む場所! 〜森林インストラクター 小林良範さん〜  「毎朝6時40分に目覚め、ベッドの中で20分間ラジオを聴く。そして、会社まで15分くらいかけて歩いて通勤するのが日課です。最寄り駅に歩道橋が架かって、徒歩での通勤路が近くなったのもあり、田んぼや道端の草を観察しながら歩いています。」
 三条市在住の小林良範さんは、会社員として働く傍ら、森林インストラクターとして、多方面で活動している。

 活動の範囲も然ることながら、趣味も幅広い。登山、キャンプ、マウンテンバイク、油絵、写真、アマチュア無線、オカリナ、篠笛、木工、社交ダンスなど、興味を持ったことは何でもやってみた。リビングにある大きなテレビ台も、小林さんお手製の一品。また、趣味の一つであるオカリナも、取材の合間に大切そうに持ち出して見せてくれた。多趣味でね…と照れくさそうに、でも、とても楽しそうに話してくださった。

 とりわけ、アウトドアが好きで自然が好きだった。そんな小林さんは、平成3年から始まった森林インストラクター試験に興味を持ち、翌年見事合格した。森林インストラクターとは、森林を利用する人に森林や林業に関する知識を与え、森林の案内や野外活動の指導を行う者のことで、いわば「森の案内人」である。

 この試験に合格したことから、森林インストラクターらしい活動をしたいと思うようになり、所属していた三条オリエンテーリングクラブの仲間たちに呼びかけて、大崎山を中心に自然観察会を始めるようになった。ところが活動を開始してまもなく、活動の拠点だった大崎山で林道工事が始まり、小川にU字溝が施設された。その工事が結果的にその小川を頼りに生息していた様々な生き物たちの生息環境の劣化を招き、そこで毎年見られたホタルの数が激減してしまった。そのことが、里山の環境保全を目的とした「三条ホタルの会」の始まりとなった。ホタルを里山環境のバロメーターとして地域の自然環境を保全しつつ、市民への啓発活動をしていこうと、平成11年に発足した。

 そのU字溝は、5年程で錆びれてしまい取り外されることになった。小林さんたちが粗朶(そだ)工法をプロから教わり、ほぼ手作業で小川を整備し直したことで、大崎山は、再びホタルやトンボたちの飛び交う自然豊かな里山になりつつある。

 現在小林さんは「三条ホタルの会」の事務局長であると同時に、平成19年に結成された「五十嵐川を愛する会」の副会長も務める。

 かつては、生活に密着した存在であり、昔は飲み水・生活用水でもあった五十嵐川と、住民は次第に疎遠になっていった。川と離れた暮らしぶりで、川の危険も察知できない。これからは遊びながら、楽しみながら、自然と関わる場を持つこと、自然と向き合うことが大事だと話していた。7・13水害での被災体験からも、そんな想いを強めた。

 「里山も川も同じで、命が育まれている場所なんです。」どちらにも、それぞれに多様な環境がある。いろんな生き物がいて、それぞれが違う環境下で生きている。里山や川は市民にとって遊ぶ場、景観を楽しむ場、精神保養の場であると同時に、生き物の生息する場である。里山や川と上手に付き合っていくことで、ふるさとに愛着が湧き、自然の恵みで生かされていることへの気づきや、自然や文化を大切に思う気持ちが育まれる。活動を通じて、市民に伝えていきたい熱い想いが真直ぐに響いてきた。

 五十嵐川との関わりを深めていく中で、明治時代に五十嵐川左岸に堤防を築くために尽力した松尾与十郎の業績を知った。そして、郷土の偉人の足跡をまとめた「与十郎堤探検マップ」作りにも関わった。また、先日行われた岩室の天神山での自然観察会の際も、事前に天神山城址の歴史について勉強をしたと話す。
 
 「戦国時代の戦(いくさ)話は好きだったからね、こういうローカルな歴史の話も興味津々なんです。」と、目を輝かせていた。

 「好きなこと、興味があることの勉強なので、好奇心や知りたい!という思いで、楽しみながらやっているんだよね。」と微笑みながらも、森林インストラクターや技術士補(環境)の試験は難しかったそうで、かなり勉強したと教えてくれた。自らの活動の場を広げるために、その時は合格を目指して勉強したけれど、自分の好きなことの勉強なので苦にならなかったと話す小林さんの書斎には、植物・生物などの図鑑や専門書籍が数多く並んでいた。

 また、仕事・家庭・社会の3つのチャンネルを持ち、それぞれに居場所を見つけることが大事だと話してくださった。仕事だけではない。家庭だけでもない。3つ全部がつながっている。仕事や家庭以外の社会にも、自分の居場所があって、役割もあって、みんながそれに気付くだけで明るい世の中になる気がする。

 終始、優しい笑顔と柔らかい口調で語ってくださった小林さんのノンプロフィットな姿勢からも、自然の命の育み方を垣間見ることができる。ふるさとを流れる五十嵐川のように雄大なスケールの方だと感じた。また、誰からも好かれる生き物である“ホタル”を会の名前に付けた小林さん自身が、誰からも愛されるホタルのようだと感じた。


(2009/10/20 にいがたNPO情報ネットhttp://www.nponiigata.jp 

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