にいがたNPO情報ネット
 フォントサイズ: 

私たちの活動は、労働者の尊厳を取り戻すため。          〜山崎 武央さん〜

私たちの活動は、労働者の尊厳を取り戻すため。          〜山崎 武央さん〜 「派遣切りされた。手元には1000円しかない」
「正社員への登用があるはずだった。そんな気配は全くない。会社に騙された」

 県内の若者を対象にした労働組合「にいがた青年ユニオン」で、電話相談や団体交渉を行う山崎武央さんのもとにはこんな相談が寄せられる。先の見えない闇の中で困惑する人、会社に怒りを覚える人、想いや職種もバラバラだ。「パート、アルバイト、家業を営む人、正社員の人。うちには本当に様々な人が相談にきます。自営をしてる人と会社勤めの人では、相談をするに至った背景はもちろん違う。しかも親子関係もうまくいかず、頼れるところはどこにもない人も。ここで相談を受けていると、社会の縮図を見ているような気がしてきます」一連の問題に、山崎さんは社会の「縮図」を見た。そして事態は山崎さんの想像を超えた。「うちは20〜30代の若者を対象としていましたが、蓋を開けてみると40代の方からの相談が多いことにびっくりしました。中には家庭を持っている方もいる。そんな人達が派遣社員として働いているなんて、全然想像できませんでした」

 にいがた青年ユニオンは、特定の役員が活動を請負うのではなく、一人ひとりができることをやることが特徴だと言う。「私もその一人でしかありません。にいがた青年ユニオンの力は、一人の力持ちではなくて、みんなができることをやるから発揮されているんです」山崎さんも友人の誘いでこの活動を始めた。これまでの活動を振り返りながらこう続けた。「活動に参加する最中、とある男性の給料明細を見せてもらいました。派遣社員として働く彼は、夜中の工場で12時間もくもくと働く。それでも手元には10万円しか残らない月もある。生活できないようなお金しか手に入らないことにおかしいと思ったんです」
 現状に「おかしい」と感じ、活動にのめり込んでいった山崎さん。活動は一般的な労組とは一線を画している。「普通の労働組合は、団体交渉をして賃上げを要求することが基本だと思うのですが、僕たちは相談者に生活保護のアドバイスをしたり、ハローワークに一緒に行って効率の良い仕事の探し方を教えたりしています」
 相談者に対してのきめ細かい対応には驚かされるばかりだ。しかしどうしてそこまでするのだろうか。「私たちのところに相談にくる方々は、何かしらの劣等感を持っています。例えば非正規の労働者は、いつでも代替可能な部品として扱われ、“○○さん”ではなく、“派遣さん”と呼ばれたりします。派遣先の企業は、正社員が嫌がるきつい仕事を派遣社員に任せて、辞めたら取り替える。そこでは人としての尊厳は無視されています」社外から派遣される労働者は、いつ契約が解除されるかわからない環境の中で疑心暗鬼に陥る。だから「社員に本音は絶対言わない」。山崎さんは、この活動を通して労働者が自分を取り戻せるよう、意識的に働きかけているのでは。話の節々にそんな想いを感じる。「確かにそうかもしれません。私たちは労働者の尊厳を取り戻すために、日々活動しています」。

 山崎さんには日々の活動の中で見えてきたことがあるそう。今後の活動と未来を語ってくれた。「私たちの活動は人間の生活を丸ごと扱い、その人の尊厳を取り戻すところにあります。すると一見私たちのフィールドではないところとも一緒に活動できる可能性が見えてきます。例えば年金受給生活者の団体との協働であるとか。大きな枠組みの中でやらなければならないことが沢山ある。相談に来る人だけに対応するのではなく、他の団体と一緒になって世の中にアプローチしていきたいですね。目標はそういう相談者がいなくなってにいがた青年ユニオンが必要とされない社会になること。そこを目指して活動していきたいです」。

(2009/2/20 にいがたNPO情報ネットhttp://www.nponiigata.jp/

TOPへ戻る 一覧へ戻る