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どんな人でも集まれて元気になれる、そんな安全地帯をつくりたい ―山際紀秀さん―

どんな人でも集まれて元気になれる、そんな安全地帯をつくりたい ―山際紀秀さん―  新潟市在住の山際紀秀さんは、自身の引きこもり経験から傷つき悩んでいる若者へ寄り添ってきた。「怒られたり急かされたりせずにすむような、安全地帯のような場所をつくりたい」と日々活動を続けている。

 山際さんは新発田市出身。父親が中学校の先生だったことから、将来は英語の教師になりたいという思いが漠然とあったという。高校卒業後、東京の大学で英米文学を専攻し教員免許も取得した。しかし教育実習で学校現場に訪れた際に「すごく管理的に思えたんですよね。そこで気持ちがなえてしまったんです。」

 結局就職活動は一切行わずに、1年間ほどアルバイトをしてオーストラリアに渡った。そこで英語を本格的に勉強するつもりだったが、まわりには世界中を旅している人々がたくさんいた。同じ日本人なのに、ロシアからアフリカにわたってオーストラリアに来たという人もいた。「なんかショックというか、自分も負けてられないっていう気持ちになぜかなったんですよね。自分が全く知らない世界があって、それを見てみたいと思った。自分も世界一周するしかないという気持ちになりました」。

 再びアルバイトをしてお金を貯めた山際さんは、まず中国に渡り東南アジアを経てインドへ渡る。そこで、オーストラリアで受けたものとは次元が違う、価値観が完全にひっくり返るほどのカルチャーショックを受けた。「ものの考え方が全く違うことに驚きを覚えました。貧富の差が激しいということもあるけれども、朝から晩まで考える時間がたくさんあって、まわりの人と日常会話として神や宇宙について話し合ったりしてました」。すっかりはまってしまい、日本とインドを往復するという生活が何年か続いた。

 インドに慣れていくに従い、逆に日本がおかしく見えるようになり、自分に合わないと感じるようになっていった。28歳のときに帰国したが、「いろいろなことが分からなく」なり、その後2年間社会的に引きこもる生活を送る。「何かしないといけない、仕事をしなければいけないという焦燥感はあるんだけど、でも何をしていいのか分からずにすごく辛かった」。家にいると居た堪れなくなるので、毎日のように自転車で川や山に出かけた。

 そうした生活が2年ほど続いたあるとき、たまたま行った福祉人材センターで障がい者施設の求人情報を見つけ、そこの臨時職員になった。「自分の原体験の一つに、小学校のころ知的障がいのある子どもが転校してきて、すごく仲良くなったんですよね。臨時職員の仕事をさせてもらって福祉にはまったというか、変な言い方だけどギスギスしているように感じる日本社会からみると、逆に利用者の人たちに癒されているような感覚があった」。

 ヘルパーなどの仕事を掛け持ちしながら福祉現場に関わり、やがて引きこもりの若者の支援活動を行っている『メンタルフレンドにいがた』の活動を知ることになる。「やっぱり自分も引きこもっていたので、役に立てることがあるんじゃないかという気持ちで団体の活動に関わるようになりました」。自分の家や部屋から出ることができない若者のもとにいき、彼らの話に耳を傾けた。

 2007年からは労協センター新潟事業団の職員として、「新潟地域若者サポートステーション」(サポステ)のスタッフとなる。そこでも若者と接するスタンスは「様々な事情があって、傷ついている人に寄り添う」というものだ。「就労支援という部分でやらなければいけない部分はもちろんあるんだけど、世の中に一つくらいゆるくて誰かから急かされたりしない場所があってもいいんじゃないかと思うんですよ。だからサポステは登山の時のベースキャンプ。ここからハローワークやいろんなところにアタックかけて、駄目だったらすぐ戻って来いって言っています」。
 若者がサポステに来て、仲間ができて、その中の誰かがアルバイトを始めたりすると、みんな就職を意識する。そういう相乗効果はあるけれども、むしろ「急ぎすぎるな、無理すんな」と待ったをかけたりもする。

 現在山際さんは、11月22日・23日に開催される「いま『協同』を拓く 2008全国集会in新潟」の準備に追われている。「若者の仕事と希望ある未来」というテーマのセッションを担当する。「働くことって、みんなが思っているよりも広がりがあるもので、会社に雇われるだけでなくいろんな働き方があると思う。本当にやりがいがある仕事をみんなで考えて作っていこう。そんなメッセージを伝えられたらいいですね。」

新潟地域若者サポートステーション
http://pub.ne.jp/saposuteniigata/

全国協同集会実行委員会 事務局のホームページ
http://kyodo-net.roukyou.gr.jp/2008/index.htm

(2008/11/18 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp 

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