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劇場には、そこでしか得られない『何か』がある 〜井上きみ則さん〜

劇場には、そこでしか得られない『何か』がある 〜井上きみ則さん〜  「演劇との出会いは学生の頃なんですよ。感化されたといいますか。」
 東京での学生生活の最中、演劇と出会う。井上さんは当時の想いを不思議そうに振り返った。「学校を卒業後県内に就職、その後地元の新津に戻ってきて、劇団を作りました。『シアターゴーイング』(略称、シアゴー)との関わりも新津で劇団を作ってからです」。

 シアターゴーイングとは、長岡リリックホール開館当初から行っている地域劇団の演劇祭だ。「リリックホールが出来たのが98年で、中越地震が起きた年を除いて毎年開催していています。今年で12年目になります。」当初はいち参加者として関わっていた井上さんだが、今ではシアゴーを運営する側として、地域で活躍する演劇人の交流やレベルアップに奔走している。

 井上さんはシアゴーを運営するにあたり、昨年から「シアターゴーイング実行委員会」改め「シアゴーつくり隊」という組織を立ち上げた。井上さんは今年1年間の隊長(代表)を勤める。「前隊長が命名したのですが、実行委員会という名前はなんだか固いじゃないですか。固いイメージは敷居が高くとっつきにくい感じだったので、『シアゴーつくり隊』という名称にしました。だから代表は隊長という肩書きになっています。」と団体を解説しながらも、設立に至る経緯も語ってくれた。「シアゴーの過去の10年間はソフトづくりに励んでいたところがありましたね。集客力のある団体を呼んできて、とにかく市民に演劇を知ってもらおうというスタンスでした。ですが、今までのやり方を続けていては演劇の文化は根付かないと思いました。10年という節目もあるし、これからはその土地独自の文化や芸術、クリエイティブを提供していこうと考え、この組織を立ち上げました」。

 シアゴーの今年のテーマは「しろ」。「長岡らしいテーマを考えた」そう。「地元独自のクリエイティブを提供しようと思ってのテーマです。『長岡といったら雪の白さやお城だよね。』って話していて、『じゃあ平仮名で「しろ」にしよう。』と考えました。このテーマを意識したものであれば、どんな人でもどこからの応募もオーケーです。因みに今年は既に、妙高の劇団や長岡造形大の学生達からの応募がありました。」どうやら井上さんの活動が少しずつではあるが波及し、根を張ってきているようだ。「長岡以外の地域から応募があったのは嬉しかったですね。僕のやっている活動は一時のムーブメントのように爆発的に増えるようなものじゃないので、この活動はなくしたくないし、年に1回はやっていきたい。徐々にすそ野が広がっていけばと思っています」。

 井上さんはこの活動を通しての当面の目標も語ってくれた。「今、色んな地方で面白い動きが沢山生まれているのですが、長岡もその一部になれたらなんて思っています。地方のレベルはやっぱり中央にかないませんが、独自の取り組みは展開できる。他の地方から『長岡でもこんなことやってるんだ。』って関心が向けられるように、これからも活動に尽力していきます。」と意気込む。「メディアを通してドラマを見ることはできますが、劇場ではそこでしか得られない『何か』があるんです。交流やレベルアップはもちろんですが、劇場に足を運ぶ文化、そんなところも伝えていきたいと思っています。」井上さんは親指を胸に当て、照れながらもそう語った。

 リリック演劇祭「シアターゴーイング」12回目の公演は、来年2月21日から。井上さんの想いが形になるだろう。


リリック演劇祭「シアターゴーイング」ブログ
http://theater-going.seesaa.net/


(2008/10/21 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp 

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