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市民活動は自分自身の快適さのために―杉野真司さん―

市民活動は自分自身の快適さのために―杉野真司さん― 三条市在住の杉野真司さんは、地場産業の金属製品を製造する会社を経営しながら、さまざまな市民活動や地域の活動に関わっている。
「市民活動に関わるのは、自分の居場所(地域)を快適に過ごすための手段ですね。自分が快適に過ごせる居場所をいくつも増やすための手段」。何かを一筋にするというのもスゴイことだが、特定の居場所(例えば会社や学校)しか自分の身の置きどころがないと、視野が狭くなったり、気持ちの切り替えができずに疎外感を味わうというパターンが増えているのではないか。一つの居場所に居づらくなった時に、心のバランスを保つための“シェルター”がいくつもあれば、生活が単調にならず、いろんな視点で物事を考えるトレーニングにもなる。「市民活動はそんな効果もあるように感じるので、市民活動に関わることは、自分の心身のバランスをとるためにやっているのかもしれません。」

そんな“シェルター”の一つが『三条市生涯学習インストラクターの会』の活動だ。三条市の生涯学習課と協力しながら、学校から総合学習に関する相談を受けたり、何かを学びたいという人に講師の紹介や、講座の企画の助言などを行っている。「ささやかな中間支援でしょうか。また、夏至や冬至に『100万人のキャンドルナイト』に賛同して、読み聞かせやミニコンサートなども継続して行っています。」
この会に入った動機は、三条市の生涯学習推進会議の委員の委嘱を受けたこと。生涯学習のことを知っているようで知らなかったことから、基本を学ばないといけないと思い、当時、三条市が呼びかけていた生涯学習インストラクター養成講座を受講した。その受講生で立ち上げた会に講座修了後に入会し、2007年度から代表を務める。
「目立たず地道に活動を続けています。無理をしないことがモットーなんですけど、年月の積み重ねで行政との信頼関係や地域での認知度が少しずつ高まってきたかなと思います。」

また「個人的な興味」という形で『三条地名研究会』という活動も行っている。市町村合併の話がピークになっていたころ、合併後の名前をどうするかでもめるところが多かったので、地名についての基本を学ぼうということから、日本地名研所の谷川健一氏や新潟県地名研究会の長谷川勲氏を招いて勉強会を開催したのがきっかけ。「地名を考えるのはいろんな切り口がありますが、私自身は古い言葉の語源を探る手がかりとして地名を扱っています。会をはじめてから3年になりますが、これも無理しないようにと不定期で年に数回のペースで、講座や講演会、探訪会を開催しています。」
他にも福祉団体や災害関連の活動をしているNPO法人に所属し、さまざまな団体に参加している杉野さんだが、そのスタンスにはある一定のルールがある。モットーの一つが、なるべく他の人の活動とバッティングしないということだ。仕事や市民活動において、他と競争する環境に身を置かないようにするということ。「他にやっている人がいるならば、それはその人たちにお任せして、他がやっていないことをやっていく。同じことをやろうとすると、『同じ会があるのに何でこっちに入らないんだ』ということに陥りがちなので。そういうのは苦手なので敬遠しています。」

そうした考えの延長からなのだろう、2007年からは有志で『三条まちづかいの会』を立ち上げ、副代表を務める。「まちづくり」や「まちおこし」ではなく「まちづかい」。その名の通り、昔からまちにある宝物−人、建物、自然など−を活かして利用していこうという趣旨の会で、まちを使いこなす達人を目指している。
「まちづくり」を標榜している方からは反発を招いたこともあるという。「変な名前をつけて、変な活動をしているとよく言われます。『まちづくり』を否定するつもりは全くないんですけど、他とは違うこと、今までとは違うことをやろうと思っているので、別の名称が必要との思いがあって。それで『まちづかい』に行き着きました。」
一つの決まった活動の柱があるというよりは、メンバーそれぞれが別個に活動していることの情報交換の場で、プラットホーム的な会だという。「ベクトルの同じ人と事前説明なしに、これっていいよねっていうことに直に意気投合する感性の人間の集合体ですね」。その根底には自分たちの住む地域に自信と愛着を呼び起こすことが共通認識としてある。

三条生まれで三条育ち、三条で企業を経営し、多くの地域活動に参加している杉野さんだが、地域を良くしなければならないという気負いがあるわけではない。「結局は自分が快適であるため」だという。都会だったら自分が何もしなくても快適なサービスが提供されることがあるかもしれないが、地方のハンディとして、サービスがなければ自分から行動をはじめないと享受できない。何かのためというお題目ではなく、自分の目の届く半径数メートルのところはせめて快適でありたい、まずはそのための活動だという。「そういう活動しかできないと感じています。なので、ねばならないという気負いは自分自身を縛ってしまうので、出来るだけ楽に、ストレスを感じない活動を心がけています。会の活動を通じて、こうだったらいいなという思いが、おすそわけ的に自然に地域に広がっていけばそれで十分と思っています。」

(2008/04/21 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp 

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