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行政と産業と市民をつなぐ横糸になれたら−長谷川 徹さん−

行政と産業と市民をつなぐ横糸になれたら−長谷川 徹さん− 1980年に(株)福田組へ入社し、現在は新潟県内の地域づくりをお手伝いする部署にいる長谷川徹さん。地域の活動に溶け込んでいける原動力は、ただひとつ「人と出会うのが好きだから」と語る。

長谷川さんと話しをしていると、「こんな活動があるよ」「こんな人がいるよ」という情報がどんどんと出てくる。知的好奇心での情報探求は三十年来の習慣という。「情報は生モノで生き物だけど、寝かせておくと発酵して良い具合になったり、後から通して見ると、発見も多い。」と情報整理も怠らない。

 情報収集の基本は、会いに行くことだという。「新聞やインターネットで得た情報でも、自分で調べたり納得しないままでは他人に紹介できない。だから、行政でもNPOでもイベントに興味があれば、どんどん参加します。」こうして得た長谷川さんの人脈が新たな事業を起こす際に役立つことがあった。

 ある地域の市民活動で「鎧兜がないか」と請われた長谷川さんは、武者行列を手がける他の市民団体から借りる手配をその日のうちに整えた。「ダンボール製の市販品もあるけど、持っている相手を貪欲に探し、真摯に条件を詰めて借りたらいいんです。」NPOは借り物競争の得意な団体と言われているが、長谷川さんもその精神を編み出している。

関東での建設現場を経て、これまで都市計画関連の企画設計型事業に関わってきた長谷川さんが、市民活動に踏み入ったのは、平成14年に受講した「まちづくりコーディネーター養成講座」がきっかけだった。「ものすごい衝撃だったのは、企業が“事業”というときは必ずマネジメントとお金のことを考えるんだけど、NPOの人たちは、『思い入れ』で事業を進めようとするんだよね。」と、企業とNPOの目線の違いを語った。「だけど、非営利でも事業なら、まず、人・物・金・手段の視点で現状を把握して動かないと立ち行かなくなるはず。他人の資金に頼るほど、雰囲気で漂わず、費用対効果を考えるべき。僕がNPOの人たちと一緒に取り組んで違和感を覚えるのは、そこのプロセスなんですよ。」また、建売から市街地再開発まで不動産開発に丸十年間携わった長谷川さんが、最近感じていることがある。「街づくり・地域おこしは、人や土地・建物に、公金など巨費を未来永劫巻き込んだ“大きな不動産事業”。だから、才覚の無い者に委ねて破綻してはならない。この理念はどんな“事業”にも通じるはず。」

長谷川さんは、現在、新潟市内にある沼垂(ぬったり)地区で元気づくりをお手伝いさせてもらっているという。ここでは、『発酵食品のまち・沼垂』というブランド名で、味噌・醤油・納豆・酒の製造業8社が起爆剤となり、「食彩と文化で行き立つ街づくり」に取り組んでいる。また、発酵食品での商品開発や創作料理なども盛んで、合併12市町村も含めた新潟市土産品コンクールでは最高賞を獲得、朱鷺メッセのスローフード・スローライフ展では前2回とも筆頭売上げブースとのこと。

中越地震の直後、この団体では小千谷市で味噌汁千食を給仕したが、川口町に一人で甘酒の炊き出しに通ったこともあった。「沼垂から託された水タンク・ガスボンベ・寸胴・甘酒・味噌汁・保温カップを満載して震災直後の道を行くのは大変だったけど、何かせずにはいられなかった。お辞儀してくれている姿がルームミラーに小さく見えたとき、この程度なのに申し訳ないと胸が熱くなった。」と当時を振り返る。そんな長谷川さんの原動力になっているものは、やはり「人との出会いが好きだから」ということ。

「世間話もできることが大切。」と長谷川さんは、都内の下水道工事で数百軒の住民対応係を担当した時に痛感したという。「昼夜問わず、1軒ずつ何度かお宅へ伺うわけですが、いきなり用件を切り出すのはダメでしたね。最初は手探りでしたが、一年後には玄関先でメロンも結構頂きました。」
そんな長谷川さんの気さくな声かけに、学生のボランティアグループからの信頼も厚い。地域づくりをソフト面から支援する部署の長谷川さんは、新エネルギーの実効性ある地域導入にも携わっている。
昨年、温暖化を防止する普及啓発イベントを学生たちと企画・運営したときには、表舞台は学生に任せ、長谷川さんはトラックやテントの手配など細かな段取に気を配っていた。「一緒に取り組むのに年齢は関係ない。年下に教えてもらうのも抵抗はないし、自分から汗をかいたほうが仕事は早く進みます。」

長谷川さんに、今、最も関心のあることを聞いたところ「環境と経済の両立」と「行政と産業と市民を繋ぐ横糸」という答えが返ってきた。「環境保護だけ唱えて経済が廻らないのでは、地域社会に発展はない。両立は非常に難しいと思うけど、実際に成功しているところはある。」そう言って、事例を幾つか見せてくれた。「行政・産業・市民を結ぶ三角形の真ん中に居て、どの顔も持つのが本来のNPO。地域づくりに求められるのは、公益性と事業性と実効性。命題は人的資源の持続性。物販での空き店舗対策は旧態依然。異分野・異業種との広域連携で地域再興を促す省庁施策も盛んな今、三者の取組みが縦糸なら、ソフト面から綾なす横糸となってお手伝いできたら。」と、長谷川さんは考えている。長谷川さんは、これまでも、これからも市民活動に大きな力を発揮してくれる人物である。

(2006/05/17 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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