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情けは人のためならず―斉藤達治さん

情けは人のためならず―斉藤達治さん  「趣味でやってるだけですから」と、斉藤達治さんはボランティアやNPO活動をする団体向けに、自宅のサーバーを無料で利用できるサービスウェブサイト「TatuNet(たつねっと)」を運営している。

 元よりパソコンや機械が好きで富士重工に就職し、その後県の職員となり情報政策課に配属された。以来10年間、コンピューターシステムを主な仕事としてきた斉藤さんだが、地域政策課を経て県民生活課へ異動となったことをきっかけに、市民活動団体やNPOを深く知ることとなった。「みんな一生懸命なんですよ。ついつい応援したくなってしまって」。財政的に厳しい運営体系が目立ち、また、情報発信力にやや欠けると言われるNPOの世界に「私でお役に立つなら」と、自宅の自作サーバーを無料で提供することにした。「尤も、こんな容量の大きいサーバーを私ひとりで使うのは勿体ないと思いましてね。それならみんなに使ってもらったほうが喜ばれるし、私自身も嬉しいですから」と顔をくしゃくしゃにして斉藤さんは笑う。
 「無料」は大きな魅力だが、他にも「使い易い」「丁寧」「親切」など、口コミでTatuNetの噂は広がり、今やユーザー登録数は県内外のNPOやボランティア団体、趣味の会など全て合わせると実に3万件を超える。

 県民生活課を職場としていた当時、「7.13新潟豪雨」と「新潟県中越大震災」が発生した。そこで斉藤さんは行政にはないNPOの力をまざまざと見せ付けられた。「公平・平等」を原則としている行政に対し、NPOは「必要な時に必要な物を」と柔軟且つ迅速に対応し、面識の有無や役職など一切関係なく、人との信頼関係だけで動くことさえあった。両者の根底にある「困っている人を何とか救ってあげたい」という気持ちは同じだが、性質の差異は否めない。「こんなことが支援の壁になっていてはだめだ」。災害という非日常の中で、支援する側が協力し合ってひとつになることが最優先であり基本だと、斉藤さんは両者のパイプ役を買って出た。「本当に沢山のことを学びました。苦い思い出もありますけど、どんな状況においても人を動かすのはやっぱり心なんだと実感しました。人の力っていうのは凄いですね」。

 現在、斉藤さんは新潟学園という全寮制の児童自立支援施設で次長を務めている。社会福祉法第44条により各県に一施設ずつ置かれ、入設している児童の多くは、いじめや家庭不安から不良行為と呼ばれる行動を起こした子であるらしい。以前は生活指導だけを行っていたが、平成16年から学校教育も導入され、農業体験なども実施されている。「みんなかわいいですよ。感情をうまく表現したりコントロールすることができなくて暴れることもありますけどね。心の底では愛情を求めているんです。あの子たちの親にはなれませんが何とか力になってあげたくてね」。元来の世話好きな顔を覗かせる。
 
 将来の夢を尋ねてみた。「定年退職したらやりたいことがいっぱいあるんですよ」と、また相好を崩す。中学・高校時代には美術部の部長を務めたほどの美腕の持ち主である斉藤さんは、コンピューターグラフィックや油絵、写真などにも凝っており、「いつか個展を開けたら、なんて思ってますけど、でも基本的には社会貢献をしていきたいですね。団塊の世代、特に医療・福祉保健関係に従事していた人たちには、どんどんその知識や技術を広く社会の役に立てて頂きたい。私も微力ながら貢献していきたいと思います。それが自分のためにもなるんですから」。
『社会貢献は人のためだけにするものではない』。自分本位の人間が多い中で、この言葉は実に人間の人間たる姿を表している。

【参考】
■「TatuNet」 http://www.tatunet.ddo.jp/
■「Tasu CG PHOTO Gallery」http://www2u.biglobe.ne.jp/~statu/

(2006/03/13にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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