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学校はまちを映す鏡−長谷川 義弘さん−

学校はまちを映す鏡−長谷川 義弘さん− 「教育」は「共に育てる」と書いて「共育」だと語る長谷川義弘さんは、胎内市立中条小学校の校長を勤めている。昭和46年から教職につき、34年間多くの子どもたちと接してきた長谷川さんは学校を地域の人々の活動拠点にと考えている。

平成17年9月1日に中条町と黒川村が合併し、胎内市が誕生した。同市立中条小学校校長の長谷川義弘さん(58歳)はスキーやサッカーなどの部活を担当しながら、社会体育指導員をやってきた。始めて赴任したのは、小千谷小学校、2校目が小千谷市塩田。積雪が多い時で5メートルを越すこともあったこの地域では、親たちがブルドーザーを出して、山を成らしたところでスキーを教えたこともあった。教え子たちとの思い出が詰った地域に、昨年の中越地震が発生し心が辛かったという。

「学校は上質の教育を行うことが役割だと思っています。でも、それだけではない。一人で生きていく力を身につけることです。このことは、地域の人たちと交流している中で感じましたね。」そう語る長谷川さんは地域づくりと学校教育がつながっている環境をとても大切にしている。

現在長谷川さんは、生き生きと活動する大人たちに学校にかかわってもらい、子どもたちが体験しながら学ぶ機会になるようにと「学校支援ボランティア」の導入を進めている。「都会の方ではもう言わなくなったと思いますが、地域に住む子どものことを我々は『うちの子』と呼ぶんです。いい言葉だなあと思って。」こうした関係をなくさないために、地域の人たちに学校をどんどん使ってもらいたいと長谷川さんは願っている。

いくつかの学校ですでに採り上げられている「学校支援ボランティア」は、外国語やITなどの授業における支援、環境や福祉などに関する講習会での講師、部活動の指導、児童に対する登下校の送迎など、教育活動のさまざまな分野で地域の人が協力する仕組みである。

この一環として、同小学校PTAと地元のNPOらが協力し、10月15日に「中条まちあるき隊」を開催する。長谷川さんはこの企画会議で、NPOがコーディネーターを務めるワークショップという手法を体験し非常に勉強になったという。「これまではトップダウンで物事を進めることが多かったが、今回はみんなから意見を出し合い、それを一つにまとめながら作り上げている。考える『間』を持たせるんだよね。教育現場にもぜひ取り入れたい。」長谷川さんは、教育にとって「間」というものに深い意味を感じるそうだ。「教育現場にも、時間、空間、仲間という3つの間を『さんま(三間)』というのですが、ワークショップにはこれがあると思うんです。」

長谷川さんは、子どものことで相談に来る親に「長い人生なんだから、そんなに結論を急がなくてもいいじゃない。もう少し待ってみましょう。」と、声をかけている。子どもの教育と農作物を育てることに共通点も多いと語る長谷川さん。「確実性の高い仕事をしたいけど、教育も農業もやってみないとわからんでしょ。100やっても結果は10だったとする。ちょっと見方を変えると、何もやらなかったときから10も出来ている。ここを見るんです。少しづつではあるが、成長している。」

子どもの成長とは、瞬間にどんどん成長の殻を脱いでいく。「大人になるとしがらみとか、いろいろあって簡単に殻を脱げないんだよね。子どもってすごい。」そういう現場に立ち会えることが長谷川さんにとって、教職を続ける原動力になっている。

「学校って不思議な空間でね、利害関係なく話しができるんですよ。大人が集まると商売の話しとか損得で物事を捉えがちだけど「お互い様」と言って、互いを許容し合い、幅の広い社会を映した言葉がある。」そう語る長谷川さんは学校がもつこうした雰囲気に、にぎやかさをプラスし、人と人との出会いをつくりたいと考えている。「毎日をお祭りにしたいんだよね。学校は広いし、遊び道具もそこそこある。縁日とかやったら、大人も子どもも集まるでしょう。」学校はまちを映す鏡だと語る長谷川さんの夢はさらに広がっている。
(2005/10/11 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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