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自分の生きやすい社会を作るため −荻野 茂子さん−

自分の生きやすい社会を作るため −荻野 茂子さん−  長岡市にあるNPO法人「女のスペース・ながおか」で「女性が抱えるさまざまな問題」の相談を行っている荻野茂子さんは、和服の似合う女性である。「女性の抱えるさまざまな問題」とは、具体的には暴力、セクハラ、離婚、人間関係、心の問題など。一人の女性の問題を通して、地域や社会に対しても働きかけを行っている。

 「女のスペース・ながおか」で行っているのは、電話相談、来所相談、出張相談、緊急一時保護、フェミニストカウンセリングである。フェミニストカウンセリングとは、女性の立場にたって、本人が持っている力を取り戻す(エンパワーメント)サポートをすることである。荻野さんは、女性学や、フェミニズムを自分のために学んできたが、学んだことを自分の生活に活かすことにより社会が変わっていくと感じた。「知識は自分が“おかしい”と思ったこと変えていくための力。」と考えている。

 「自分の生きやすい社会を作るために活動していることは、今でも変わらない。自分のためにもという仲間が増えて、周りや環境、社会が変わっていけばいいと思っています。」
社会を変えるために、この活動をしているのではなく、自分のためにやってきたという素直さが、周りに受け入れられたのだろう。

 女性学や、フェミニズムなどを、学びなおすきっかけになったのは、それまでも心にくすぶっていたモヤモヤと共に、子どもや大人がPTA活動に関わりだしてからだという。子どもが生きやすい学校や地域になるように活動してきたことにより、社会との関わりが広がった。「次世代の子どもたちに私たちの時代と違うものを残していきたいのです。忘れていけないのは、今の社会があるということは、それまでの世代の人たちが努力してきたから。」とも感じている。

 95年、第4回国連世界女性会議に出席したことが、荻野さんにとって社会との関わりをさらに強く感じさせられた出来事だったという。北京で開かれたその会議には、世界中のNGOにかかわる女性たちが集まっていた。「言葉は通じなくても、一人一人が持っているパワーを感じたの。世界中の女性たちの問題は、すべてつながっていると思った。」と荻野さんは当時を振り返る。国の事情によって、具体的な困難状況は異なるが、性差別については変わらないという。

 「女のスペース・ながおか」では、当事者の気持ち、生の声を聞いて形にし、社会に訴えていくアドボカシー(代弁擁護)支援も行っている。今ある社会の枠組に当てはめることが問題解決の道ではない。社会の枠組事態が今の現状に合わなくなっている。自分の意識を変えることと、社会が同時に変わっていかないと“おかしい”ことの本質は変わらない。「男女平等は、頭ではわかっていることなんだけど、自分の生活に関わってくると、違ってくるのが人間ですから。それに、新潟は保守性の強い地域性だし、なかなか声が届きにくいのが現状です。」と支援の難しさを語った。今春設置された長岡市DV防止ネットワークにより、行政や警察、司法関係機関などと協働しながら、支援行動が行えるようになったことは、「女のスペース・ながおか」や当事者にとって大きな支えとなっている。
 
 支援活動を続けていると、当事者の持っている力に触れることができる。スタッフ自身が力を得られることも多いという。「当事者自身の力を最大限引き出すエンパワーメント支援が原点。カウンセラーが決めるのではないのです。」と荻野さんはカウンセリングによるメンタルヘルスの重要性やスタッフ同士のミーティングについても話した。現在、「女のスペース・ながおか」のスタッフは、8人。

 言葉を選びながら、ゆっくりと、時には力強く話をする姿に、安心感と勇気をいただいた。荻野さんの、言葉に何人の女性が自分の価値を再発見し、新しいスタートを切ったのだろう。

(2002/10/15 にいがたNPO情報ネット www.nponiigata.jp)


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