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新潟とベトナムの若きかけ橋 −福田忠弘さん−

新潟とベトナムの若きかけ橋 −福田忠弘さん−  福田忠弘さんは、栃木県宇都宮市生まれの29才。現在、新潟に暮らしながら、早稲田大学の大学院博士課程に在学中だ。2年間のベトナムでのフィールドワークを終え、この3月に帰国したばかりである。

 1992年に新潟大学の法学部に入学。国際関係論を専攻し、ゼミでの研究を通して東南アジアに興味を持った。大きなきっかけは、指導教官が運営に携わる新潟国際ボランティアセンター(NVC)との出会いだった。

 NVCは、新潟市に拠点を置き、寄付やバザーでの収益を元に開発途上国の支援を行うNPO法人である。1989年に発足以来、アジアの農村の生活改善や青少年の就学支援、ストリートチルドレンの保護、難民の救援などの事業を、世界5ヶ国で展開してきた。

 福田さんは、'94年のNVCのスタディ・ツアーに参加し、カンボジアを訪れた。各地に残る内戦の爪痕や貧困に苦しむ人々を目の当たりにし、しばらくはそのショックを拭い去ることができなかったという。'96年、今度は同じスタディ・ツアーでベトナムを訪れる。当時、NVCは新しい独自の事業として「ベトナム未来プロジェクト」を立ち上げようとしており、このスタディ・ツアーも非常に重要な意味をもっていた。当時大学院に進んでいた福田さんは、若くして「ベトナム未来プロジェクト」の担当となり、この時以来日本とベトナムを往復する生活が始まった。

 「ベトナム未来プロジェクト」は、現地での小学校建設(現在まで14校開設)、ストリートチルドレンのためのオープンハウス経営、盲学校経営支援、困窮学生に対する奨学金などを含むNVC最大の事業で、まさに同団体の活動の柱となっている。福田さんは、このプロジェクトのほとんどに担当者として関わり、現地と日本を往復しながら数々の支援を実現させてきた。因みに、NVCからは旅費が支給されるが、作業については全て無償のボランティアである。

 ベトナムに滞在していた'01年〜'03年にかけても、席を置いた大学のあるハノイ市から、NVCの活動の中心であるホーチミン市の周辺まで、1,000km以上の道程を幾度となく往復し、プロジェクトのコーディネーターを務めた。現地パートナーとの交渉、支援先の決定、建設スケジュールの組立と管理、資金の受け渡し、日本からのスタディ・ツアーの受け入れなど、仕事は山積みだ。多い年には一年に3つの小学校が建設されることもあり、そうなると当然、福田さんの生活は多忙を極める。

 同年代の友人達とは少し違った二十代を過ごしてきた福田さんだが、自分のこれまでの活動を振り返ってこう言う。「自分は社会に出たことがなく、最初は経費の計算の仕方もわからなかったけれども、NVCの仕事を通して色んな事を覚えました。給料は出ないし、忙しくてバイトをする暇もなかった。でも、色んな人との出会いや経験は自分の財産です。」

 妻の玲子さんとはNVCの活動を通して知り合い、約一年前、福田さんがまだベトナムにいるときに入籍した。今年三月に帰国し、現在、新潟市内に二人で暮らしている。福田さんは今も大学での研究を続けつつ、引き続きNVCのベトナム担当として活躍している。

 新潟の人々の善意を、地道な活動を通して海の向こうへと運び、学業とも両立させてきた福田さん。この先考えているのは「研究者として仕事をしながら、ベトナムと関わり続けること」だそうだ。一人の若者がNPOとの出会いを通し、自分自身の成長と共に大きな成果を残し、さらに大きな可能性を未来に宿している。この限りなくポジティヴな循環は、NPOだからこそ生み出し得る大きな力ではないだろうか。

(2003.6.9 にいがたNPO情報ネット www.nponiigata,jp)

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