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「気づき」が変えた生き方 −平田ゆかりさん−

「気づき」が変えた生き方 −平田ゆかりさん−  岩船郡関川村の下関という集落に、ちょっとユニークなレストランがある。メニューは日替わりの「家庭料理のランチ」(650円)に、コーヒー&ハーブティーとシンプルそのもの。店内では、精神障害者や近くの作業所から来るスタッフがせっせと働く。ここが平田ゆかりさんの職場、NPO法人「Hop step げんき!」が経営するレストラン『ままや』だ。

 平田さんは関川村で生まれ、二十歳になるまで地元で過ごした。その後3年間は仕事を変えながら各地を転々とし、村に戻ってからも次々に職場を変えた。気がつけば、会社勤めから尾瀬ヶ原の山小屋、スキー場、ダンプの運転手と、就いた仕事は19個に。昨年春に当時の仕事を辞め、NPO法人を設立。その業務に専念することになった。実に20個目の職場について平田さんは、「いろいろやってきて、ここにたどり着いた、って感じです。」と話す。

 NPO法人設立のきっかけは、13年前に仲間とつくった「子育ての会」にあった。「子育ての会」といっても、特に子育てに関わらずとも誰もが参加できた。ともすると閉鎖的になりがちな農山村の生活で、何かに行き詰ったときにある自分の居場所 − 当時子育ての最中だった平田さんを含め、様々な人たちがそんな場所を求めて集まっていた。

 4年前、その「子育ての会」の仲間達と、お金を出し合って、いつでも足を運べる居場所としてレストランをつくろう、という話になった。その後の2年間、平田さんは仕事の合間に東京・調布にある精神障害者のレストランへ通った。目指すのは、「精神保健の推進」である。
 「人が豊かに暮らしていくために一番大事なのは、心が豊かであることだと思うんです。精神保健というのは特別なことじゃなく、例えば、自分の気持ちを相手を責めずに伝えるにはどうしたらいいか、お互いに気持ちよくコミュニケーションするって事もそう。心の問題を含めたノーマライゼーションを実現していきたいと思っています。」
 こう話す平田さんは、常に基準を一番弱い人に合わせるということを心がけて活動してきた。弱い人が暮らしやすい社会は、健常者にとっても暮らしやすいということなのだ。

 レストランの開設には資金がいる。5万円を一口として寄付金をつのり、40口を集めた。その他に県からの助成金が150万円。さらに不足する250万円は、発起人が出し合った。こうして出来上がったレストラン「ままや」は、昨年4月に開業。各方面から反響を呼びつつ、今日に至っている。

 「最近世の中に出てきた言葉にslow workというものがあります。無理をしない範囲で仕事をして、それが人の為になる、そんな場所があってもいいと思うんです。」
 「ままや」には、障害者が社会とつながっていく場というコンセプトも盛り込まれていて、近くの作業所から常に一人が交代で仕事に通っている。

 平田さん自身も、家へ帰れば家族を支える主婦という顔を持つ。「子育ての会」の頃から、家庭での自分の役割と家庭の外での仕事の両立は意識してきた。
 「外に出ることで家庭の大事さもよくわかり、家の事も生き生きとこなせるようになったと思います。活動を通して、守るべきものは守りながら、自由に生きていく方法があるということを学びました。」
 仕事に追われて大切なものを忘れがちな現代の生活に、NPOという職場は新たなライフスタイルを提示してくれているようだ。

 現在、「Hop step げんき!」には約100人の会員(年会費3千円)がいるが、正直言って、「ままや」の経営は楽ではない。平田さんの頭の中には、「昔の茶の間のような居場所」「市民活動のためのローカルセンター」など、「ままや」が地域で担い得る役割について様々なアイディアがある。20個目の職場は、これからが本番である。

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